海外赴任の内示を受けて、真っ先に悩むのが「家族を連れて行くか、単身で行くか」ではないでしょうか。
子どもの学校、配偶者の仕事、現地での暮らしと、考えなければならないことが一度に押し寄せてきます。
- 子どもの学校や受験への影響
- 配偶者の仕事やキャリア
- 家族が現地になじめるかの不安
- 単身赴任中の健康と生活
- 帯同と単身でのお金の差
内示が出たけれど、家族を連れて行くか単身で行くか決められません。



私もドイツでは家族帯同、中国では単身赴任を選び、両方を経験してきました。
私は2006〜2008年にドイツのミュンヘンへ家族帯同で、2020〜2024年に中国の上海へ単身で赴任しました。
この記事では、両方を経験したからこそ分かった良かったことと大変だったこと、そして判断の基準を本音でお伝えします。
読み終えるころには、あなたの家族にとってどちらが合っているのか、判断の軸がはっきりしているはずです。
帯同2年と単身4年の海外赴任歴


最初に、私がどんな状況で家族帯同と単身赴任をそれぞれ選んだのか、ドイツと中国での2回の海外赴任の概要をお伝えします。
2回の赴任は、行き先の国も時代も、子どもの年齢や妻の仕事といった家族の状況も、振り返ると驚くほど違うものでした。
両方を経験して強く感じているのは、同じ会社員であっても家族の状況によって正解は変わるということで、それがこの記事の出発点になっています。
ミュンヘンへの家族帯同2年間
1回目の赴任は2006〜2008年の2年間で、ドイツのミュンヘンへ妻と長男を連れて行きました。
当時の長男は幼稚園に通う年齢で、妻も仕事を休職して一緒に来られる状況でした。
家族3人で、初めての海外生活をスタートさせた形です。
上海への単身赴任4年間
2回目の赴任は2020〜2024年の4年間で、中国の上海へ単身で行きました。
妻と4人の子どもは日本に残り、私1人での生活です。
ちょうどコロナ禍と重なり、2ヶ月間のロックダウンも経験することになりました。
選択を分けた子どもの年齢と妻の仕事
2回で選択が分かれた理由は、はっきりしています。
決め手になったのは、子どもの年齢と妻の仕事の状況の2つです。
| 項目 | ミュンヘン(2006〜2008年) | 上海(2020〜2024年) |
|---|---|---|
| 子ども | 長男が幼稚園 | 長男が高校生、長女が中学生ほか |
| 妻の仕事 | 休職できた | 休めなかった |
| 選択 | 家族帯同 | 単身赴任 |
子どもが小さく妻が休職できたミュンヘンでは帯同、子どもが中高生で妻が仕事を休めなかった上海では単身を選びました。
家族帯同か単身かの判断基準


結論からお伝えすると、両方を経験した私の答えは「子どもが現地で学校生活を送れるなら家族帯同」で、そうでなければ単身赴任です。
子どもの年齢や配偶者の仕事など家庭ごとに事情は違いますが、判断の軸さえ持っておけば、家族で話し合うときに迷う時間はぐっと減ります。
ここからは、実際に帯同か単身かを判断するときの具体的な基準を、私の経験を交えながら5つに分けて順番に説明します。


海外生活を家族で過ごす価値
まず前提として、私にとって家族と一緒に海外で暮らす経験は、とても大きな財産です。
ミュンヘン時代に家族でヨーロッパの国々を旅行できたことは、私にとってかけがえのない経験になりました。
だからこそ、条件が許すなら家族と一緒に過ごすことを優先したい、というのが私の考えです。
子どもが小学生以下なら帯同
現実的な目安として、子どもが小学生以下なら家族帯同をおすすめします。
我が家の長男も、ミュンヘンの幼稚園で友達ができました。
親にとっても、幼稚園を通じて現地での人間関係が広がるという良さがあります。
子どもが中学生以上なら単身
一方で、子どもが中学生以上なら単身赴任が現実的だと感じています。
上海赴任が決まったとき、長男は高校生、長女は中学生だったため、私は単身を選びました。
中学生以上になると、子ども自身の学校生活や将来を優先する判断も必要になります。
現地で学校生活を送れる環境の有無
ただし、年齢はあくまで目安で、最終的な決め手は現地で子どもが学校生活を送れる環境があるかです。
赴任先によって、通える学校の種類や通いやすさは大きく異なります。
内示を受けたら、まずは次のような点を会社や現地の駐在員に確認してみてください。
- 日本人学校の有無
- インターナショナルスクールの有無
- 自宅からの通学手段
- 帰国後の進学への影響
配偶者の仕事と休職の可否
もう1つの大きな判断材料が、配偶者が仕事を休めるかどうかです。
ミュンヘンのときは妻が休職できたため帯同でき、上海のときは妻が仕事を休めなかったため単身を選びました。
配偶者の勤務先に休職の制度があるかどうかは、早めに確認しておくと安心です。
家族帯同のメリットとデメリット


ここからは、2006〜2008年のミュンヘンでの家族帯同で、実際に感じたメリットとデメリットを具体的にお話しします。
振り返ると、良かったことの多くは「家族がそばにいてくれる安心感」から生まれていて、それが仕事への集中にもつながっていたように思います。
一方で、慣れない土地で家族が体調を崩したときの対応には、仕事との両立という面で苦労したのも事実です。
妻の手料理で安定した体調管理
家族帯同の一番のメリットは、食事面で妻に支えてもらえたことです。
当時のミュンヘンには日本のようなコンビニがなく、日本食を食べることも難しい環境でした。
妻が帯同してくれたおかげで、大きく体調を崩すこともなく、仕事に専念できました。
幼稚園で広がった子どもと妻の交友
子どもは、ミュンヘンの幼稚園で友達ができました。
妻も幼稚園のママ友ができ、一緒にドイツ語学校に通ったり、お茶をしたりと有意義に過ごしていたようです。
家族それぞれに現地での居場所ができたことは、帯同して良かったと感じている点の1つです。
家族で巡ったヨーロッパ旅行
家族がいたことで、ヨーロッパの国々を一緒に旅行できたのは大きな財産になりました。
ドイツからは周辺の国へ出かけやすく、家族でいくつもの国を訪れることができます。
単身赴任では味わえない、家族帯同ならではのメリットだと思います。
家族の急病時の病院探しと送迎
デメリットとして大変だったのは、妻や子どもが体調を崩したときの対応です。
慣れない土地で病院を探し、送迎もしなければならず、一時的とはいえ仕事との両立に苦労しました。
帯同を考えている方は、赴任前に現地の病院の情報を調べておくと安心だと思います。
単身赴任のメリットとデメリット


続いて、2020〜2024年の上海での単身赴任で、実際に感じたメリットとデメリットを正直にお伝えします。
自分の時間が増えた一方で、コロナ禍のロックダウンや膨大な仕事量など、家族に頼れず1人で乗り越えなければならない場面も多くありました。
振り返ると、単身赴任は自由と引き換えに自己管理が求められる働き方であり、その覚悟があるかどうかが大切だと感じています。
自由な時間で始めたロードバイク
単身赴任のメリットは、自分の時間が増えることです。
家族と離れていたことで時間ができ、私は上海でロードバイクという新しい趣味を見つけました。
仕事以外に打ち込めるものがあると、単身生活にもメリハリが生まれます。
日本人クラブで保てた健康
上海では日本人クラブにも入会し、適度な運動をしながら健康に過ごすことができました。
単身赴任では健康管理が心配になりがちですが、運動の習慣があったことで体調を保てたと感じています。
赴任先に日本人会や日本人クラブがあれば、早めに参加してみることをおすすめします。
2ヶ月に及んだロックダウン生活
単身赴任で最も大変だったのは、2ヶ月間アパートから出られなかったロックダウンです。
家族と離れた海外で、2ヶ月間アパートの中だけで過ごすのは、本当に大変な経験でした。
同じことがまた起きるとは限りませんが、非常時に1人で乗り切るための備えは必要だと感じています。
深夜まで続く現地顧客との打ち合わせ
仕事面では、中国のお客様との打ち合わせが深夜に及ぶことが何度もありました。
それが続くと、体力的にかなり厳しくなります。
単身赴任では生活リズムが仕事に引っ張られやすいので、意識して休む時間を確保することが大切です。
駐在員に集中する膨大な仕事量
上海では、駐在の日本人に仕事が集中しやすい傾向がありました。
こなしきれないほどの仕事量で、夜に帰宅してからや休日もパソコンを開くことが多かったです。
単身だと時間を使えてしまう分、仕事が生活に入り込みやすい点には注意が必要です。
家族帯同と単身のお金の違い


家族帯同と単身赴任で迷うとき、それぞれでお金がどれくらい変わるのか、どちらのほうが貯金しやすいのかも気になるところだと思います。
結論から言うと、私の場合は帯同でも単身でも、手元に残ったお金はほぼ同じで、大きな差はありませんでした。
違ったのはお金の「残り方」ではなく「使い道」だったので、ここではその中身を帯同と単身に分けて具体的に紹介します。
お金に困らない駐在生活の実感
自分の場合は、海外駐在中にお金で困ることはありませんでした。
帯同でも単身でも、日々の生活費で苦しむ場面はなかったというのが正直な感想です。
駐在員の給与や手当については、別の記事で実際の手取りを公開しています。


帯同は家族旅行への出費
家族帯同のときに一番お金を使ったのは、家族での旅行です。
ヨーロッパの国々を巡る旅行は出費も大きかったものの、家族にとって大きな財産になりました。
お金の使い道としては、今でも満足しています。
単身は付き合いの食事と飲み代
単身赴任のときにお金を使ったのは、付き合いの食事や飲みでした。
仕事やプライベートの付き合いで、外食の機会が自然と多くなります。
家族旅行の代わりに、交際費が増えるイメージです。
最終的に残ったお金は同程度
使い道は違っても、最終的に手元に残ったお金は帯同も単身も同じくらいでした。
「単身のほうがお金が貯まる」と思われがちですが、自分の場合はそうではありませんでした。
お金だけで帯同か単身かを決める必要はない、というのが私の結論です。


単身赴任中の家族との連絡方法


単身赴任を選ぶのであれば、日本に残る家族とどうやってつながり続けるかも、赴任前に考えておきたい大切なテーマです。
上海にいた4年間は、週2〜3回のビデオ通話と、コロナ禍の間は年に1度だった一時帰国で、家族との時間をつくっていました。
ただ、振り返ると本当に大変だったのは日本に残った妻のほうだったと、今になって強く感じています。
週2〜3回のビデオ通話
家族とは、週2〜3回ほどFaceTimeなどのビデオ通話で連絡を取っていました。
顔を見ながら話せるので、離れていても子どもたちの様子を知ることができます。
なお、中国ではLINEなど一部のアプリがそのままでは使えないため、赴任前に準備しておくことが大切です。


コロナ禍の一時帰国は年1回
コロナ禍の間、一時帰国できたのは1年に1度だけでした。
家族と直接会える機会が限られていたからこそ、日々のビデオ通話がより大切になりました。
一時帰国の頻度は時期や会社の制度によって変わるため、赴任前に確認しておくと計画が立てやすくなります。
日本に残る家族にかかる大きな負担
単身赴任で忘れてはいけないのが、日本に残る家族の負担です。
妻はフルタイムで働きながら4人の子どもの面倒を見ていて相当大変だったと思いますし、家族側にも大きな負担がかかった時期があり、本当に苦労をかけました。
単身赴任を選ぶなら、赴任前に次のことを家族と話し合っておくと安心です。
- 連絡の頻度と方法
- 一時帰国のタイミング
- 困ったときの頼り先
家族帯同と単身のよくある質問


最後に、家族帯同か単身かで迷っている方が気になりやすい質問に、私の経験をもとにひとつずつお答えしていきます。
私自身の経験だけでなく、公的な調査の数字も交えながら、これから判断する方の参考になるよう、できるだけ具体的にまとめました。
気になる質問だけを拾い読みしても分かるように書いているので、家族で話し合うときの材料として使ってください。
家族帯同と単身赴任の割合
労働政策研究・研修機構の調査(2016年実施)では、配偶者のいる海外転勤者について、約3社に2社(66.7%)が「半数以上が単身赴任」と答えています。
国内転勤の68.2%とほとんど差がなく、海外赴任で単身を選ぶのは決して珍しいことではありません。
詳しくは労働政策研究・研修機構「企業における転勤の実態に関する調査」で確認できます。
帯同しやすい子どもの年齢の目安
私の経験から言うと、小学生以下が帯同しやすい目安です。
中学生以上になると、日本での進学や学校生活への影響が大きくなるため、単身を選ぶ家庭が増えると感じています。
ただし最終的には、赴任先で子どもが学校生活を送れる環境があるかどうかで判断してください。
帯同した配偶者の現地での過ごし方
我が家の場合、妻は子どもの幼稚園を通じてママ友ができ、現地での生活を楽しんでいたようです。
一緒にドイツ語学校に通ったり、時間が合えばお茶をしたりと、有意義に過ごしていました。
子どもの学校や幼稚園は、配偶者にとっても現地の人間関係を広げる入り口になります。
単身赴任中の健康管理の工夫
私の場合は、趣味のロードバイクと日本人クラブでの運動が健康管理に役立ちました。
単身赴任は仕事が生活に入り込みやすいので、意識して体を動かす時間をつくることが大切です。
付き合いの外食が増えやすい点にも気をつけてください。
帯同と単身の貯金額の差
私の場合、帯同でも単身でも貯金できた額は同じくらいでした。
帯同では家族旅行、単身では付き合いの食事や飲みと、お金を使う場面が違っただけです。
貯金額よりも、家族にとって何を大切にしたいかで選ぶことをおすすめします。
配偶者が仕事を続けたい場合の選択
配偶者が仕事を休めない場合は、単身赴任が現実的な選択肢になります。
私も上海赴任のときは、妻が仕事を休めなかったことが単身を選んだ理由の1つでした。
配偶者の勤務先に休職制度があれば帯同という選択肢も広がるので、早めに確認してみてください。
まとめ|家族帯同か単身かの答え
家族帯同と単身赴任の両方を経験した私の答えは、子どもが現地で学校生活を送れるなら家族帯同です。
迷ったときは、次のポイントを振り返ってみてください。
- 小学生以下の子どもなら帯同が目安
- 中学生以上の子どもなら単身が目安
- 決め手は現地の学校環境の有無
- 配偶者の休職の可否も重要
- 残るお金は帯同も単身も同程度
海外で家族と暮らせる経験は、人生でそう何度もあるものではありません。
まずは赴任先の学校事情と配偶者の仕事の状況を確認し、家族でじっくり話し合うことから始めてみてください。
内示を受けてから渡航までにやるべきことは、こちらの記事で順番にまとめています。










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